プロジェクト紹介

月探査計画 写真

月極域水資源探査計画

 月の北極や南極にあるクレーターの底には、何億年も太陽の光が直接当たることのなかった永久影と呼ばれる地域があります。
 1990年代以降の月周回衛星による探査から永久影に大量の氷がある可能性が出てきました。氷が大量にあれば、飲み水を調達するだけでなく、水を電気分解することによって、呼吸する酸素、さらにはロケットの燃料である水素を製造することができます。
 2030年代には、この氷からロケットの燃料(水素)と酸化剤(酸素)を作り出すプラントを月面に建設して、月から地球へ帰る燃料や、月から火星へ向かう燃料にして、月開発や火星開発のコストを一気に下げる計画です。
 世界各国が月の氷資源探査を始める中、日本は、インドと協力して氷資源探査機を2023年ごろに打ち上げることを目指しています。佐伯は月極域氷探査のための氷検出分光カメラAdvanced Lunar Imaging Spectrometer(ALIS)を月面無人探査車の搭載機器として提案し採用され、開発LEAD(リーダーのこと)をしています。

月探査計画 写真

月着陸実証計画SLIM

 月周回衛星「かぐや」の地形地質カメラの開発、運用、データ解析の共同研究員となってから、月の起源と進化の研究をしています。
 「かぐや」後、次期月探査計画SELENE-2に眺望分光カメラを提案・開発し、 さらに、SELENE-2の着陸候補地点を理学研究者の立場からとりまとめる SELENE-2着陸地点検討会の主査をやってきました。しかし、残念なことにSELENE-2は2015年3月にキャンセルとなりました。
 しかし、その後の世界的な月探査復活の流れの中、2022年度打ち上げ予定の小型月着陸実証機SLIMに搭載される唯一の理学観測装置である、マルチバンドカメラMBCの開発リーダーとなりました。
 「かぐや」が見つけた、月のマントル物質が露出している可能性が高い地域にピンポイント着陸し、月のマントル物質の化学組成を観測し、月の起源を解明する鍵となるデータの取得を目指しています。

電子書籍インターフェース研究プロジェクト 写真

無人観測移動体による火山観測計画

 活動する火山を無人観測移動体(ロボット)を使って観測し、理学研究や防災に役立てる研究を行っています。
人に衝突しても怪我をさせない無人観測飛行機Sky-1の開発や、携帯電話回線をロボットや計測装置の制御およびデータ送受信に活用する研究を行いました。
 また、近い将来の伊豆大島の噴火の際に、ロボットを観測や防災に役立てるための伊豆大島無人観測ロボットシンポジウムを2009年に主催しはじめ、 火山観測ロボットの実証試験大会としては世界最大規模に成長させました。 このシンポジウムは2017年に一定の成果をあげたということで幕を閉じました。
 現在は、空中から投下して地面に突き刺す観測装置であるペネトレーターをドローンを使って活火山へ投下するJAXAの実験に参加しています。

携帯電話の歴史プロジェクト 写真

カメルーン火山湖調査計画

 カメルーンでは1980年代にニオス湖とマヌーン湖の2つの火口湖で、湖底に溜まった大量のCO2が突然湖面に噴出する湖水爆発が起こり、 ふもとの3つの村で1800人の住民が酸欠死しました。 独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施している、地球規模課題対応国際科学技術協力プロジェクト 「カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成(研究代表:大場武(東海大学))」に参加し、CO2のモニタリングシステムを整備するとともに、 CO2の供給源を探査する研究を行いました。
このプロジェクトは、2015年度末で一段落を迎えました。阪大チームは、水中音速の測定から湖水の溶存二酸化炭素の量を正確に推測する方法を開発し カメルーン地質調査に技術供与するなど、多くの成果をあげました。その後も供与した方法を使った観測がカメルーン地質調査所の手で行われています。